外貨建mmfのメリット公開中
いまや、アメリカの問題はサブプライムだけではない。
2008年2月、アメリカおよびアメリカのマーケットに贈られた″バレンタインデーのプレゼント″は「アセット・オークション・証券(オークション・レート・セキュリティARS)」、または「テンダー・オプション・ボンド(TOB)」と名のつく人工的(シンセティック)な新しい担保証券であった。
これは、1日から17日ごとに金利をオークションにかけることで、資金調達をする側は2008年、アメリカの金融機関だけで17兆円ものリファイナンス(再融資借り換え)が必要となっている。
ところが、金融機関ではモノライン(金融保証のみ引き受ける保険会社)などの格下げによる影響で、債券格下げが進行中なのだ。
この格下げがどんなところに影響しているか?企業を直撃するだけではない。
教育やなるべく低い金利で調達でき、買い手側運用側はなるべく高い利回りで運用できるという「winwin」の金融商品である。
このARSでの調達金利が6パーセントから17パーセントにまで上昇した。
AA(ダブルA)の債券が17パーセントまで金利は上昇。
一例として、ニューヨーク・ニュージャージー港湾管理委員会が発行したAAのオークション・レート証券の金利は、17パーセントまで膨れ上がっている。
しかし、これだけの金利を払ってもなお、資金を調達できるだけまだましである。
しぶりは世界中で始まった「貸し渋り」と「貸し剥がし」のなかで、これまで聞いたこともない先進的な証券化商品が、新たな損失を生む金融商品だったとは、デビュー当時はだれも気づかない。
ところが、そこにポイズン(毒)が盛られていた。
薬も使いすぎれば毒になる。
アメリカの大手企業 B・Mは、この担保債のために数億ドルもの損失を計上することになり、担当者はクビ。
株価は暴落してしまった。
文化にも、ボディブローのように効いてきている。
たとえばミシガン州では、100くらいの学校が「スチューデント・ローン」を設けているが、資金が調達できないために奨学金の支給がストップしたままなのである。
全米に何百、何千とある各種の文化財団も同じである。
これらが今後、少なくとも数年間はまともな運営ができなくなるはずである。
アメリカ国内の機関投資家は、投資債券の基準としてAA(ダブルA)、AAA(トリプルA)の格付け商品にしか投資してはいけない、というルールがある。
自分たちがつくったルールで身動きがとれなくなってしまった。
まさに、尻尾が体全体を振り回している犬のようである。
これが債券格下げの大混乱を引き起こしているのである。
たまたま、こういう状況のなかで、この2月にW・Bが登場したというわけだ。
彼は、自身が率いる投資会社 B・H 社を通じて、M 、A フィナンシャル・グループ、F というモノライン(金融保証会社)3社に対して8000億ドルの地方債再保証を提案した。
もちろん、「白馬の騎士」として舞い降りたわけではなく、明々白々の「投資」である。
再保証提案の対象が最上級の格付けを持つ地方債だけであるばかりか、保証会社が支払う再保証料(プレミアムの17パ−セント増)もきわめて高額なものであって、モノライン側からしてみれば、実質的なメリットはほとんどない。
しかも、 Bの「救済(という名目の投資とは、サブプライムローン関連の資産(リスクの高いもの)はその対象になっていないのである。
株価は急伸したけれども、債券相場はむしろ下落してしまった。
先の金融保証会社の株価も、6〜8パーセントは下落している。
なんといっても、地方債のデフォルト(債務不履行)はほとんどないと言ってよい。
モノラインから見れば、いずれもビジネスとしては健全である。
しかし、マーケットはモノラインすべての信用を疑っている。
そこで、 Bとしては、サブプライムショックで疲弊したモノラインの弱みにつけ込んで抜け目のない提案をした、というのが当たらずといえども遠からずのところであろう。
生粋の投資家としては、当然かつ正当な「提案」だと思う。
なにも非難されるいわれはない。
もし、彼を「白馬の騎士」と見ている日本の読者がいるとすれば、全米を探しても、金融界にそんな人物は一人もいないのだと釘を刺しておきたい(事実、本稿をまとめている段階で、「モノライン各社が B氏の提案を拒絶」という報道がなされた。
まあ、現段階では正しい判断ではなかろうか)。
「失われた17年」と「成熟への17年」このケースを見ても、アメリカの底力、金融資本主義の凄壁を私は痛感するのである。
17年前の日本にも、バブル崩壊のために破綻していった金融機関や不動産業者がたくさんあった。
このとき、 Bのように、人々の不幸を前にし、儲けようとする人がいたら、それが合法的かつ正当な投資行為であったとしても、なお非難し糾弾、やっかみし嫉妬のなかで生きていかなければならなかっただろう。
サブプライムショックが起ころうが、モノライン危機が勃発しようが、マーケットにおいては損をする人間ばかりではない。
たとえそれが、ビジネスライクな提案であっても(たしかに、事実その通りなのだが)、自分の責任において手を挙げた Bが英雄視される風土がアメリカにはある。
他人の損を利用してでも、したたかに儲けようとするフェット並みの投資家が掃いて捨てるほどいるのだ。
このしたたかさと、したたかさをも自らの一部にしてしまえるだけの懐の深さ。
やはり腐っても鯛、だ。
アメリカのマーケットの多様性は、見習ってもいいように思える。
さて、現在のアメリカは17年前の日本である。
あのころ、バブルが崩壊し、その後日本この17年間、日本人はバブル崩壊を経験したけれども、じつはあのとき株式投資、不動産投資で損をしたのは機関投資家と業者にすぎない。
プロが不動産を買いまくり、プロが融資し、そしてプロが焦げ付いて終わったのである。
売り手はだれか?ほとんど資産を持つ個人であった。
結果的に見ると、個人は高値で不動産を売却し、その後、株式バブルには目もくれず、豊かな資金を蓄えてきたという構図が、この9年間の日本なのである。
プロにだまされたと日本人が経験したことが、もっと規模を拡大してアメリカで深く進行中なのだ。
だが、日本の国債が格下げされたとき、いったいどうなったか?円高になった。
これがなんと、1ドル17円17銭(1995年4月四日)まで進んでしまったのである。
今回のアメリカ発のバブル崩壊現象ではどうか。
ドル高になったのか。
危機が勃発するまでは、1ドル125円台をめざしてドル高が続いていたのに、急反転して1ドル100円をあっさり割り込んでしまった。
いまのところ、この点については明らかに異なっているかのように見える。
もし、米国債が格下げされたとしたらどうなるだろう?きっと、さらにいっそうの「超ドル安(17円高)」に振れるにちがいない。
それが常識人の判断なのだが。
現実はときに、常識とは異なる姿を見せる。(損失に巻き込まれた個人を除いて)。
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